
ワイヤレス給電は、私たちの生活をより便利にする革新的な技術です。この記事では、「ワイヤレス給電がどのような仕組みで動いているのか」という疑問を解消するため、主要な4つの給電方式(電磁誘導、磁界共鳴、電波受信、電界結合)について解説します。
ワイヤレス給電とは?
ワイヤレス給電とは、電力をケーブルなどの物理的な接続なしに、空間を介して供給する技術の総称です。別名「非接触充電」や「無線電力伝送」とも呼ばれ、充電の手間をなくし、機器の利便性や安全性を高めることを目指しています。
従来の有線による電力供給では、ケーブルの抜き差しや断線、水濡れによるショートや感電のリスクが伴いました。ワイヤレス給電はこれらの課題を解決し、機器の防水・防塵性の向上、デザインの自由度向上、そして充電場所の制約からの解放といったメリットをもたらします。
スマートフォンやウェアラブルデバイスといった小型電子機器の充電から、電動歯ブラシや電気シェーバーなどの生活家電、さらには電気自動車(EV)の充電、工場内の自動搬送ロボット、医療機器、IoTデバイスへの電力供給など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
ワイヤレス給電についてさらに詳しい情報はこちらの記事もご覧ください。
ワイヤレス給電の仕組み
ワイヤレス給電は、電磁気学の原理や電波の特性を利用して、送電側から受電側へ非接触でエネルギーを伝送しています。主に以下の4つの方式が実用化・研究開発されています。
電磁誘導方式
電磁誘導方式は、最も古くから実用化されているワイヤレス給電の仕組みです。送電側と受電側のそれぞれにコイルを配置し、送電側コイルに電流を流すことで磁界を発生させます。
この磁界の変化が受電側コイルに電磁誘導作用を起こし、誘導電流を発生させることで電力を伝送します。送電側と受電側がごく近い距離にある場合に高い効率を発揮します。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
磁界共鳴方式
磁界共鳴方式は、送電側と受電側のコイルを特定の「共振周波数」に合わせることで、効率よく電力を伝送する仕組みです。
送電側コイルから発生する磁界が、同じ共振周波数を持つ受電側コイルと強く共鳴し、エネルギーが伝わります。電磁誘導方式よりも送電距離を長くでき、位置ずれにも比較的強いのが特徴です。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
電波受信方式
電波受信方式は、マイクロ波などの電波を利用して電力を伝送する仕組みです。送電側から特定の周波数の電波を送信し、受電側の「レクテナ(整流アンテナ)」と呼ばれる特殊なアンテナで電波を受信します。
受信した電波エネルギーは、レクテナ内で直流電力に変換され、機器を動作させます。長距離・広範囲への給電が可能ですが、伝送効率は他の方式に比べて低い傾向にあります。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
電界結合方式
電界結合方式は、対向する電極板間に発生する電界を利用して電力を伝送する仕組みです。送電側と受電側のそれぞれに電極板を配置し、送電側電極板に高周波電圧を印加することで電界を発生させます。主に絶縁体(空気やガラスなど)を介した電力伝送に適しています。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
まとめ
本記事では、ワイヤレス給電の主要な仕組みである電磁誘導、磁界共鳴、電波受信、電界結合の各方式について解説しました。ワイヤレス給電は、ケーブル不要で利便性が高く、安全性の向上にも寄与するため、今後ますます私たちの生活に深く浸透し、新たな価値を生み出すことが期待されます。
特に、工場や物流現場で活躍するAGVやAMR、サービスロボット、ドローンなどの自動化・無人化を進める中で、ワイヤレス給電は不可欠な技術となっています。
ナブテスコが提供する「WiBotic ワイヤレス給電・充電システム」は、このような自動化・無人化のニーズに応えています。コンパクトで軽量な設計のため、搭載スペースに制限のある導入も容易に行うことが可能です。
