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AMR(自律走行搬送ロボット)とは?AGVとの違いや導入メリットなどを解説

AMR(自律走行搬送ロボット)とは?AGVとの違いや導入メリットなどを解説

AMRと聞いて、具体的に何を指すのか知らない方も多いかもしれません。

本記事では、AMRとAGVとの違いから、導入メリット・デメリットまで解説します。AMRの導入により、作業効率の向上、人件費削減など様々なメリットを享受できます。また、AMR選定の際のポイントもご紹介しているので、導入を検討されている方はぜひこちらの記事を参考に、選定してみてください。

AMR(自律走行搬送ロボット)とは?

AMR(Autonomous Mobile Robot)は、自律走行搬送ロボットの略称であり、人工知能(AI)や高度なセンサー技術を搭載し、自ら周囲の環境を認識しながら最適なルートを判断し、移動するロボットです。

主に製造工場、物流倉庫、配送センターなどにおいて、資材、部品、製品といった様々な物品の搬送作業を自動化するために導入されています。従来の固定経路型搬送システムとは異なり、AMRは事前に設定されたルートに縛られず、リアルタイムで障害物を検知・回避しながら柔軟に走行できる点が大きな特徴です。

近年、スマートファクトリーや自動化された物流現場における重要な要素として注目されています。

▼AMRのワイヤレス給電に関しては、以下の記事もご覧ください

AMRのワイヤレス給電とは?自動充電による無人運用の最前線

AMRとAGVの違い

AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)とAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)は、どちらも工場や倉庫内で資材や製品を搬送する目的で利用されるロボットですが、その動作原理と柔軟性において明確な違いがあります。

項目 AMR(自律走行搬送ロボット) AGV(無人搬送車)
移動方式 自律走行(センサーとAIで経路を判断) 誘導走行(磁気テープ、レールなどのガイドに沿って移動)
経路の柔軟性 高い(障害物回避、経路変更が容易) 低い(固定経路のみ、変更にはガイド設置工事が必要)
導入コスト ガイド設置費用は不要だが、システム構築費用が発生 ガイド設置費用が発生
環境適応性 動的な環境や変化に強い 静的な環境や定型作業に適応
導入期間 比較的短期間で導入可能 経路設置に時間がかかる場合がある
運用上の柔軟性 経路変更やタスク追加が容易 経路変更やタスク追加に手間がかかる


このように、AMRは柔軟な経路設定と障害物回避能力により、変化する環境での搬送作業に強みを発揮し、AGVは固定された経路での大量かつ定型的な搬送に優れた特性を持っています。近年では、より高度な自律性を持ち、多様なニーズに対応できるAMRの導入が加速しています。

AMRの主な機能と特徴

自律ナビゲーション機能

AMRの最も重要な機能の一つが、自律ナビゲーション機能です。これは、AMRが自身の位置を正確に把握し、目的地までの最適な経路をリアルタイムで計算して走行する能力を指します。

事前に設定された固定ルートに縛られず、状況に応じて動的に経路を変更できる点が特徴です。この機能は、主にSLAM(Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術)によって実現されています。

障がい物回避機能

AMRは、走行中に予期せぬ障害物(人、フォークリフト、落下物など)をセンサーで検知し、衝突を避けるための回避行動を取ることができます。

具体的には、障害物を認識すると自動的に停止したり、安全なルートに迂回したりします。LiDAR、カメラ、超音波センサーなど複数のセンサーを組み合わせることで、高い精度での障害物検知と回避を実現し、作業現場の安全性を確保します。

マッピング機能

AMRは、自身の周囲の環境を認識し、デジタルマップを自動的に作成・更新するマッピング機能を備えています。

初めての場所でも、走行しながら周囲の地形や固定物をスキャンし、詳細な地図を生成します。また、運用中に環境の変化(棚の移動など)があった場合でも、地図をリアルタイムで更新し、常に最新の環境情報を基にナビゲーションを行います。

通信機能

AMRは、Wi-Fiなどの無線通信機能を介して、中央の管理システム(フリート管理システムなど)や他のAMR、あるいは工場の生産設備と連携します。

これにより、タスクの自動割り当て、複数台のAMR間の協調制御、稼働状況の報告、自動充電ステーションへの帰還などが可能になります。これらの通信機能は、AMRシステム全体の効率的な運用と自動化を支える基盤となります。

AMRの種類と用途

棚搬送型

棚搬送型AMRは、主に倉庫や物流センターで利用されるAMRです。このタイプのAMRは、棚の下に潜り込み、棚ごと持ち上げて指定の場所まで搬送します。これにより、作業員が広大な倉庫内を移動して商品を探す手間が省け、ピッキング作業の効率が大幅に向上します。

主な用途

  • 商品の入出庫作業
  • 在庫の移動・再配置
  • ピッキングステーションへの商品供給


牽引型

牽引型AMRは、複数の台車やパレットを連結し、それらを牽引して運搬するタイプのAMRです。工場内の生産ライン間での部品供給や、長距離の資材搬送に適しています。一度に大量の物品を運ぶことができるため、効率的な物流を実現します。

主な用途

  • 工場内の部品・資材供給
  • 生産ライン間の製品搬送
  • 廃棄物やリサイクルの運搬


ピース搬送型

ピース搬送型AMRは、個別の部品や小型の製品を搬送することに特化したAMRです。コンベアやロボットアーム、専用の収納スペースなどを備え、特定のアイテムを精密に運びます。電子部品の組み立てラインや、医薬品の搬送など、繊細な作業が求められる現場で活躍します。

主な用途

  • 電子部品や精密機器の搬送
  • 医薬品や医療品の個別搬送
  • 検査工程へのワーク供給
  • 小型製品の仕分け・供給

AMR導入のメリット

AMRの導入により、作業効率の向上、人件費削減など様々なメリットを享受できます。

作業効率の向上

AMRは、倉庫や工場内での資材、部品、製品などの定型的な搬送作業を自動化します。これにより、これまで搬送に費やしていた従業員の時間と労力を削減し、より付加価値の高い業務や専門性の高い作業に集中させることが可能になります。

また、AMRは事前に設定されたルートやタスクを正確に実行するため、人為的な搬送ミスを大幅に減らし、全体の作業フローをスムーズにすることで、生産性向上にも貢献します。

人件費の削減

AMRの導入は、搬送作業に必要だった人員を削減、あるいは再配置することを可能にします。これにより、長期的な人件費の削減が期待できます。特に、深夜や休日など人手不足になりやすい時間帯においても、AMRは安定して稼働できるため、人件費の高騰や採用難といった課題の解決に繋がります。

初期投資は必要ですが、運用コストを抑え、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。

24時間稼働の実現

AMRは、バッテリーの自動充電や交換システムと組み合わせることで、人間の休憩や勤務時間に縛られず、ほぼ24時間体制での連続稼働が可能です。

これにより、夜間や休日といった時間帯も無人で搬送作業を進めることができ、生産ラインの停止時間を最小限に抑え、全体の生産能力を向上させます。特に、生産量を増やしたい場合や、急な需要変動に対応する必要がある場合に、AMRの24時間稼働能力は大きな強みとなります。

安全性の向上

重い荷物の運搬や危険な場所での作業は、従業員の身体的負担や事故のリスクを伴います。AMRがこれらの作業を代替することで、従業員が負傷するリスクを大幅に低減できます。

AMRは、人や障害物を検知して回避する機能を備えているため、工場や倉庫内での衝突事故のリスクも軽減されます。これにより、労働災害の発生を抑え、より安全な職場環境の構築に貢献します。

AMR導入のデメリットと注意点

初期投資コスト

AMRの導入には、初期投資が高額になる傾向があります。AMR本体の費用だけでなく、充電ステーションの設置、通信環境の整備、導入後のメンテナンス費用なども考慮に入れる必要があります。

特に、複数のAMRを導入する場合や、大規模なシステムと連携させる場合は、初期費用がさらに膨らむ可能性があります。投資対効果(ROI)を事前に綿密にシミュレーションし、費用対効果を見極めることが重要です。

既存システムとの連携課題

AMRを既存の倉庫管理システム(WMS)や製造実行システム(MES)など、上位システムと連携させる際には、技術的な課題が生じることがあります。

システム間の互換性やデータ形式の違いにより、連携のためのインターフェース開発やカスタマイズが必要となるケースも少なくありません。これにより、導入期間の延長や追加コストが発生する可能性があります。導入前には、既存システムの詳細な仕様をAMRベンダーと共有し、スムーズな連携が可能かどうかの検証を徹底することが不可欠です。

AMR導入の流れと検討ポイント

現状分析と課題の洗い出し

AMR導入の第一歩は、現在の搬送プロセスにおける課題を正確に把握することです。どのような物を、どれくらいの頻度で、どこからどこへ搬送しているのかといった現状の作業フローを詳細に分析します。

手作業による搬送時間、人件費、ミスの発生状況、作業員の負担、既存の設備(コンベア、フォークリフトなど)との連携状況などを明確にし、AMR導入によって解決したい具体的な課題や目標を洗い出します。これにより、導入後の効果測定の基準も設定できます。


AMR選定のポイント

現状分析で洗い出した課題と目標に基づき、最適なAMRを選定します。選定時には以下の点を考慮することが重要です。

  • 積載量とサイズ:搬送物の種類、重量、サイズに対応できるか。
  • 走行速度とバッテリー持続時間:必要な搬送能力と稼働時間を満たせるか。
  • ナビゲーション方式:導入環境(床面、障害物の有無、広さなど)に適したSLAM方式やQRコード方式などを採用しているか。
  • 安全性機能:人や障害物を検知し、安全に停止・回避できる機能が備わっているか。
  • 操作性と導入の容易さ:現場での設定や運用が簡単か、初期設定に専門知識が過度に必要ないか。
  • 既存システムとの連携:倉庫管理システム(WMS)や生産管理システム(MES)など、既存のITシステムとスムーズに連携できるか。
  • 費用対効果:初期導入コスト、運用コスト、保守費用を含めたトータルコストと、期待される効果が見合っているか。
  • サポート体制:メーカーや販売店の導入後のサポート体制(保守、トラブル対応、技術支援など)が充実しているか。


導入計画の策定

選定したAMRを実際に導入するための具体的な計画を策定します。これには、以下の要素が含まれます。

  • 導入範囲の決定:全面的な導入か、特定のエリアや工程から段階的に導入するかを決定します。
  • ルート設計と環境整備:AMRの走行ルート、充電ステーションの配置、障害物の除去など、現場環境の整備計画を立てます。
  • システム連携設計:既存システムとのデータ連携方法やAPI連携の仕様を詳細に設計します。
  • テスト運用と検証:小規模な範囲でAMRを試験的に稼働させ、計画通りに機能するか、課題はないかなどを検証します。
  • スケジュールと予算:各フェーズの具体的なスケジュールと、それに伴う予算計画を明確にします。


運用体制の構築

AMR導入後は、安定した運用を継続するための体制構築が重要です。

  • 担当者の育成:AMRの操作方法、日常的な監視、軽微なトラブルシューティングができる担当者を育成します。
  • 保守・点検計画:定期的なメンテナンスや部品交換の計画を立て、AMRが常に最適な状態で稼働できるよう管理します。
  • トラブル対応フロー:AMRの異常停止やエラー発生時に、誰がどのように対応するかという緊急時の連絡・復旧フローを明確にします。
  • データ活用と改善:AMRの稼働データ(走行距離、バッテリー残量、エラーログなど)を継続的に収集・分析し、運用効率の改善やさらなる自動化の機会を検討します。

まとめ

AMR(自律走行搬送ロボット)は、従来のAGVとは異なり、自律的なナビゲーションと障害物回避能力を持つ革新的な搬送システムです。その導入は、作業効率の劇的な向上、人件費の削減、そして安全性の確保に大きく貢献します。

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