とは?種類や仕組みから導入メリットまで解説.jpeg)
AGVという言葉を、近年よく耳にする機会が多くなっている方は多いのではないでしょうか。本記事では、そんなAGVについて、定義から種類、仕組み、導入メリット、そして活用事例まで詳しく解説します。
AGV(無人搬送車)とは何か
AGVとは「Automated Guided Vehicle」の略で、日本語では「無人搬送車」と訳されます。その名の通り、人の操作を必要とせず、自動で荷物を運搬する車両のことです。工場や倉庫、物流センターなどの現場で、決められたルート上を自律的に、あるいは特定の誘導方式に従って移動し、資材や部品、製品などを効率的に搬送する役割を担います。
AGVの導入目的は、主に搬送作業の自動化と省人化にあります。これにより、人件費の削減、作業効率の向上、搬送品質の安定化、さらには24時間体制での稼働実現など、多岐にわたるメリットを企業にもたらします。近年では、製造業や物流業だけでなく、医療機関や小売業など、様々な分野でその活用が広がっており、生産性向上とコスト削減に不可欠な存在となっています。
AGVの種類
AGV(無人搬送車)は、その機能や移動方式によって多種多様な種類があります。ここでは主なAGVの種類について解説します。
積載型
積載型AGVは、その名の通り、AGV本体の上に荷物やパレットを直接載せて搬送するタイプです。部品や完成品、箱物など、さまざまな形状の物品の運搬に適しており、工場や倉庫内で広く利用されています。
棚搬送型
棚搬送型AGVは、専用の棚の下に潜り込み、棚ごと持ち上げて搬送するタイプです。主にECサイトの倉庫や物流センターで活用されており、ピッキング作業の効率化に大きく貢献します。作業者はAGVが運んできた棚から必要な商品をピックアップするだけで済み、広大な倉庫内を歩き回る負担を軽減できます。
牽引型
牽引型AGVは、複数の台車やカートを連結し、それらを牽引して搬送するタイプです。長尺物や多品種の少量生産ラインでの部品供給、あるいは複数の目的地へ一度に大量の荷物を運ぶ場合に適しています。連結することで一度に多くの物を運べるため、搬送回数を削減し、効率的な運用が可能です。
重量型
重量型AGVは、数トンから数十トンにも及ぶような非常に重い荷物の搬送に特化したタイプです。自動車製造における車体部品や金型、大型機械部品など、人力や通常のフォークリフトでは運搬が困難な重量物を安全かつ効率的に移動させることができます。頑丈な構造と高い積載能力が特徴です。
低床型
低床型AGVは、本体の高さが非常に低いAGVです。パレットや専用の台車の下に潜り込み、それらをリフトアップして搬送します。天井の低い場所や、既存の設備を活かして搬送ルートを確保したい場合に有効です。狭い空間での取り回しにも優れています。
屋外型
屋外型AGVは、工場敷地内や建設現場など、屋外環境での使用を想定して設計されたAGVです。防水・防塵性能を備え、不整地や坂道にも対応できる走行能力を持つことが特徴です。屋内外をまたぐ搬送や、広大な敷地内での資材運搬などに利用されます。
AGVの仕組み
移動・位置特定
AGVが目的地まで正確に移動するためには、自身の現在位置を把握し、定められたルートを走行する仕組みが必要です。主な方式としては、以下のものがあります。
誘導式(ライントレース式)
床に敷設された磁気テープや光学テープ、電線などからの信号を車載センサーで読み取り、その線に沿って走行します。シンプルな構造で導入コストが比較的低いのが特徴です。
自律移動式
レーザーセンサー(LiDAR)やカメラ、超音波センサーなどを用いて周囲の環境をリアルタイムで認識します。これらの情報と事前に作成されたマップ情報とを照合しながら自己位置を推定(SLAM: Simultaneous Localization and Mapping)し、障害物を回避しながら自律的に走行します。柔軟なルート設定や変更が可能で、環境変化への対応力も高いです。
QRグリッド方式
床に配置されたQRコードを車載カメラで読み取り、自己位置を正確に特定しながら移動します。ルート変更が容易で、比較的低コストで導入できる利点があります。
制御
AGVの制御は、車載コンピューターと中央制御システム(フリート管理システム)によって行われます。車載コンピューターは、センサーからの情報に基づいてAGVの走行、停止、旋回、荷物の積み下ろしといった動作をリアルタイムで制御します。
一方、中央制御システムは、複数のAGVの運行状況を一元的に管理し、搬送指示、ルートの最適化、充電管理、交通整理などを行います。これにより、AGV同士の衝突を防ぎ、工場や倉庫全体の効率的な運用を実現します。
動力
AGVの動力源は、主に充電式のバッテリーです。稼働時間や搬送能力に応じて適切な容量のバッテリーが搭載され、自動充電ステーションに戻って充電を行うことで、24時間体制での連続稼働も可能になります。充電方式には、コンセント接続型や、AGVが充電ステーションに停止するだけで自動的に充電が開始される非接触充電型などがあります。
AGV導入のメリット
AGVを導入すると、作業効率向上、人件費削減、24時間稼働といったメリットが得られます。業務効率化や人手不足を解消をするために、ぜひ最適なAGVを選んでみてください。
作業効率の向上
AGVは設定されたルートやタスクを自動で実行するため、手作業による搬送に比べて時間や労力の無駄をなくし、搬送作業の効率を大幅に向上させます。これにより、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
人件費削減効果
AGVの導入により、搬送業務に充てていた人員を削減したり、他の業務に再配置したりすることが可能になります。これにより、長期的な人件費の削減に繋がり、特に人手不足が深刻な現場において有効な解決策となります。
品質の安定化
AGVはプログラムされた通りに正確に動作するため、人為的なミスによる荷物の破損や誤搬送のリスクを低減します。これにより、搬送品質が安定し、製品の損傷率低下や誤出荷の防止に貢献します。
24時間稼働の実現
AGVはバッテリー充電やメンテナンス時間を除けば、人間の休憩や勤務時間に縛られることなく、24時間体制での連続稼働が可能です。これにより、夜間や休日も工場や倉庫の稼働率を維持・向上させることができ、生産性や物流処理能力を最大化できます。
AGVの活用事例
製造業での活用
製造業では、AGVが部品や半製品の工程間搬送、組み立てラインへの供給、完成品の倉庫への搬送などに広く活用されています。これにより、人手による運搬作業を削減し、生産ラインの効率化と安定稼働に貢献しています。
物流センターでの活用
物流センターや倉庫では、AGVが多様な場面で活躍しています。入庫・出庫作業の効率化、ピッキング作業の支援、棚の自動搬送、仕分け作業など、広大な敷地内での移動時間削減や作業員の負担軽減に役立っています。
病院での活用
病院では、AGVが薬剤、検体、医療器具、リネン、食事などの院内搬送に利用されています。医療スタッフが本来の業務に集中できる環境を整備し、感染リスクの低減や効率的な医療サービスの提供に貢献しています。
AGVの選び方のポイント
業務内容に適した種類の選択
AGVの導入を検討する際、最も重要なのは、どのような業務にAGVを活用したいのかを明確にすることです。搬送する物品の種類、重さ、大きさ、搬送距離、頻度、必要な精度などを具体的に洗い出し、それに見合ったAGVの種類を選定します。
例えば、小型部品のピッキング作業には積載型や棚搬送型、重いパレットの移動には牽引型や重量型が適しています。また、狭い通路や低い空間での運搬には低床型AGVが有効です。屋外での利用を想定する場合は屋外型AGVを検討するなど、用途に応じたAGVの特性を理解し、最適な種類を選びましょう。
導入環境の評価
AGVを導入する現場の環境を詳細に評価することも不可欠です。床の状態(平坦性、段差の有無)、通路の幅、障害物の有無、エレベーターや自動ドアなどの既存設備との連携、Wi-Fi環境の整備状況、充電ステーションの設置場所などを確認します。
特に、ライントレース式AGVの場合は誘導線の設置可否、自律移動式AGVの場合は自己位置推定のための環境特徴(壁、柱など)の有無が重要になります。人との共存が必要な場合は、安全センサーの性能や非常停止機能が十分かどうかも確認し、安全な運用が実現できるかを評価しましょう。
メーカー選定のポイント
AGVメーカーの選定も重要なポイントです。国内外には多くのAGVメーカーが存在するため、実績、技術力、サポート体制、費用対効果などを総合的に比較検討することが求められます。
導入後のメンテナンスやトラブル発生時の迅速な対応、既存の生産管理システムや倉庫管理システムとの連携の柔軟性なども確認すべき項目です。可能であれば、実際にAGVが稼働している現場を見学したり、メーカーからデモンストレーションを受けたりすることで、自社のニーズに合った最適なパートナーを見つけることができるでしょう。
まとめ
AGV(無人搬送車)は、人手不足やコスト削減といった課題を解決する上で、現代の製造業や物流現場に欠かせないソリューションです。
しかし、その最大のメリットである24時間稼働や自律性を、充電という「人手」や「ケーブル」が課題が妨げてしまうことがあります。
これを解決するのが、ワイヤレス給電です。
ワイヤレス給電は、AGVの充電作業を完全に自動化し、ケーブルの断線や摩耗といったトラブルから解放します。これにより、AGVは完全な自律稼働を実現でき、ダウンタイムを最小限に抑えながら、生産性を最大限に高めることが可能になります。
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