
生産現場のデジタル化が加速する現代において、ケーブル配線の煩雑さやメンテナンスコストは、製造業の皆様が抱える共通の課題ではないでしょうか。稼働中の設備や移動体への電力供給は、生産効率を左右する重要なポイントです。
本記事では、この課題を解決する軽量・コンパクトなワイヤレス給電に焦点を当て、その最新技術と製造業における活用メリットを解説します。
1. 軽量・コンパクトなワイヤレス給電が求められる理由とは?
ワイヤレス給電にも種類があり、それぞれ特徴が異なります。その中でも、軽量・コンパクトなものが求められる理由はどこにあるのでしょうか。
ワイヤレス給電の基本方式
ワイヤレス給電は、ケーブルを使わずに電力伝送を行う技術です。主な方式には、電磁誘導方式と電界結合方式があります。
電磁誘導方式 | 磁場の変化を利用し、送電コイルと受電コイルを近づけて電力を伝送する。スマートフォンや電気自動車の充電に利用されている |
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電界結合方式 | 電界の変化を利用し、送電電極と受電電極の間で電力を伝送する |
ワイヤレス給電の基本的な情報について知りたい方は以下の記事もご覧ください。
▼ワイヤレス給電とは何か?活用事例とメリット・デメリットを解説
https://wireless-power.nabtesco.com/media/column/a8
軽量・コンパクト化がもたらすメリット
小型で軽いモジュールは、限られたスペースにも設置しやすく、設備内部にも簡単に組み込めるというメリットがあります。
また、常に動き回るAGV(無人搬送車)や、精密な動作が求められるロボットアームなどでは、軽さが不可欠です。重くなると、動作の俊敏性や精度が低下したり、消費電力が増えたりする可能性がありますが、コンパクトであれば狭い場所でもスムーズに移動・動作できます。
さらに、ケーブルが不要になることで機器の見た目がすっきりとし、デザインの自由度が高まるだけでなく、工場の美観向上にも貢献します。
2. 最新技術が実現する軽量・コンパクトなワイヤレス給電
ワイヤレス給電は、ただ小さく軽くなるだけでなく、その性能も大きく進化しています。具体的にどのような進化を遂げているのでしょうか。
小型化・高効率化を可能にする技術
半導体技術の進歩によって、より小さく、より効率的な部品が開発されています。加えて、電力の損失を最小限に抑える回路設計技術も進化しており、これらにより、システム全体のサイズを縮小しながらも高い給電効率を実現しています。また、電力の送受信部分も薄型化が進んでいます。
高出力化と長距離給電の可能性
小型化と高効率化が同時に進むことで、以前よりも小さな送電・受電部で、より大きな電力を送れるようになりました。さらに、共振技術などの応用により、ある程度の距離が離れていても効率良く給電できるようになりつつあり、ワイヤレス給電の活用範囲はますます広がっています。
過酷な環境下での利用適性
ケーブル接続部がなくなることで、塵、水、油などの異物が混入するリスクが大幅に減ります。これにより、密閉構造を簡単に実現でき、防塵・防水性能を高めやすくなります。そのため、クリーンルームや粉塵の多い製造現場など、過酷な環境でも安心して利用できるようになりました。
これらの技術進化によって、軽量でコンパクトなワイヤレス給電は、製造現場が抱える根本的な課題を解決する、非常に実用性の高いソリューションとして注目を集めています。
3. 製造業におけるワイヤレス給電の活用メリット
ワイヤレス給電は、製造業に革新をもたらす可能性を秘めた未来の技術です。安全性を確保しながらそのメリットを最大限に活かすことで、産業の変革に貢献しています。
生産性向上
ケーブルトラブルによる予期せぬ設備停止がなくなり、ダウンタイムを大幅に削減できます。AGV(無人搬送車)やロボットのバッテリー充電を自動化することで、24時間稼働も可能になり、結果として生産効率が飛躍的に向上します。
省スペース化
ケーブルトラブルによる予期せぬ設備停止がなくなり、ダウンタイムを大幅に削減できます。AGV(無人搬送車)やロボットのバッテリー充電を自動化することで、24時間稼働も可能になり、結果として生産効率が飛躍的に向上します。
メンテナンスフリー
ケーブルの摩耗、断線、接続不良といったトラブルそのものがなくなるため、配線トラブルの解消と保守コストの削減が実現します。
安全性向上
ケーブルが露出しないため、人や設備がケーブルに接触して感電するリスクがなくなります。また、発塵や静電気のリスクも低減されるため、クリーンルームでの利用にも非常に適しています。4. まとめ
本記事では、軽量・コンパクトなワイヤレス給電が製造業にもたらすメリットを解説しました。ワイヤレス化により、従来の有線による供給が抱える課題を解決し、生産性向上、省スペース化、メンテナンスフリー、安全性向上といった効果が期待できます。
技術の進化により、ワイヤレス給電はより小型化・高効率化し、その適用範囲は広がる一方です。自動化・IoT化が進む現代の製造現場において、ケーブルの制約から解放されるワイヤレス給電は、生産性向上と競争力強化の切り札となるでしょう。未来の工場は、ワイヤレス給電によって、より効率的で、より安全で、そしてより柔軟な生産体制を確立できるはずです。
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