
AGVの稼働を左右するバッテリー選びは、製造現場の自動化における大きな課題です。
本記事では、鉛蓄電池とリチウムイオン電池をコストや性能面から比較します。また、交換や充電の手間をなくす新技術「ワイヤレス給電」についてもご紹介します。
生産性向上とコスト削減を両立する最適なバッテリー戦略を、ぜひこの記事で見つけてください。
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AGVバッテリーの種類と基礎知識
製造現場におけるAGVの導入は、人手不足解消や生産性向上に貢献しますが、その性能を最大限に引き出すためには、適切なバッテリー選びが不可欠です。
AGVに使用される主なバッテリータイプ
現在、AGVに広く使用されているバッテリーは、主に以下の2種類です。
| 項目 | 鉛蓄電池 | リチウムイオン電池 |
|---|---|---|
| 初期コスト | 安い(導入しやすい) | 高い(初期投資が必要) |
| 寿命 (サイクル数) | 短い(約500〜1,000回) | 長い(約2,000〜4,000回以上) |
| 充電時間 | 長い(約8〜10時間) | 短い(約1〜2時間程度) |
| メンテナンス | 必要(液補充や掃除) | 不要(メンテナンスフリー) |
| 重量 | 重い | 軽い(鉛の約1/3〜1/4) |
| 主流の型 | 標準的な鉛バッテリー | リン酸鉄リチウム(LiFePO4) |
AGVのバッテリーを選ぶ際の比較ポイント
AGVのバッテリーを選定する際には、以下の点を総合的に比較検討することが重要です。
初期コスト・導入費用
バッテリー本体の購入価格だけでなく、専用の急速充電器や、必要に応じた設置工事にかかる費用を合算して検討します。リチウムイオン電池は高性能な分、初期費用が高くなる傾向があるため、予算と性能のバランスを見極める必要があります。
充電時間と稼働効率
フル充電にかかる時間に加え、短時間の休憩を利用した「継ぎ足し充電」が可能かどうかを確認します。充電時間が短く、効率的な運用ができれば、少ないAGV台数で生産現場の搬送を止めずに回し続けることが可能になります。
寿命・サイクル数
バッテリーが本来の性能を維持できる充放電の回数(サイクル寿命)を比較します。寿命が長いバッテリーを選べば、将来的な交換頻度を減らすことができ、長期的なメンテナンスコストや廃棄の手間を大幅に削減できます。
メンテナンス頻度とランニングコスト
精製水の補充といった定期的なメンテナンスの手間や、日常的な点検・清掃の頻度を評価します。人件費を含む運用コストのほか、充電効率の違いによる電気代の差についても考慮することが重要です。
重量・サイズ
バッテリーの重さや寸法は、AGV自体の積載重量や加速・旋回などの走行性能に直接影響を与えます。機体内の限られた設置スペースに収まるか、また重量増加によって走行スピードが落ちないかを確認しておく必要があります。
安全性・環境性能
万が一のトラブル時における発火や発熱のリスク、および鉛や酸などの有害物質の使用有無を確認します。現場の作業環境の安全性を確保するとともに、リサイクルのしやすさといった環境負荷の低減にも配慮した選定が求められます。
リチウムイオン電池と鉛蓄電池の違い
ここでは、AGVバッテリーの二大選択肢であるリチウムイオン電池と鉛蓄電池について、具体的な比較項目を挙げてそれぞれの特性を深掘りします。
【比較表】リチウムイオン電池と鉛蓄電池
| 比較項目 | リチウムイオン電池(LiFePO4) | 鉛蓄電池 |
|---|---|---|
| 初期コスト | 高価 | 安価 |
| 充電時間 | 短い(急速充電・部分充電可能) | 長い(満充電が基本) |
| 稼働効率 | 高い(充電待ち時間短縮) | 低い(充電待ち時間発生) |
| 寿命(サイクル数) | 長い(2,000~6,000回以上) | 短い(500~1,500回程度) |
| メンテナンス | ほぼ不要(メンテナンスフリー) | 補水、比重管理など定期的 |
| 重量 | 軽い | 重い |
| サイズ | コンパクト | 大きい |
| 安全性 | BMSにより高い安全性 | 水素ガス発生、電解液漏れリスク |
| 環境負荷 | 低い(有害物質使用量少ない) | 高い(鉛を使用) |
| 放電深度 | 深い(ほぼ使い切り可能) | 浅い(過放電に弱い) |
初期コスト・導入費用
初期費用は鉛蓄電池が安価ですが、リチウムイオン電池は長寿命でメンテナンス不要なため、長期的なトータルコストではリチウムが有利になるケースが増えています。
充電時間と稼働効率
鉛蓄電池は8時間以上の充電が必要で、中断すると劣化しやすいのが難点です。一方、リチウムイオン電池は急速・継ぎ足し充電に強く、休憩時間を活用して24時間に近い連続稼働を実現できます。
寿命・サイクル数の比較
鉛蓄電池の寿命(500〜1,500回)に対し、リチウムイオン電池は2,000〜6,000回以上と数倍長持ちします。交換頻度が下がるため、将来的な手間や廃棄コストを大幅に抑制できます。
メンテナンス頻度とランニングコスト
鉛蓄電池は定期的な補水や換気設備の設置が必要ですが、リチウムイオン電池はメンテナンスフリーです。日常の管理工数や人件費を削減でき、予期せぬダウンタイムのリスクも防げます。
重量・サイズの違いが作業効率に与える影響
リチウムイオン電池は軽くコンパクトなため、AGVの積載量を増やし、機敏な走行を可能にします。機体の軽量化は消費電力の低減にもつながり、稼働時間の延長に貢献します。
安全性・環境性能の比較
鉛蓄電池は水素ガスや液漏れのリスクがありますが、AGV主流のリン酸鉄リチウムは熱安定性が高く、安全制御(BMS)により極めて高い安全性を備えています。有害物質も少なく、環境負荷が低い点も特徴です。
AGVバッテリーの充電方法と課題
AGVのバッテリー性能を最大限に引き出すためには、適切な充電方法の選択が重要です。
接触式充電の仕組みとメリット・デメリット
現在のAGVの主流となっているのが、物理的に接続して充電を行う接触式充電です。大きく分けて、作業員がケーブルを接続する「プラグイン方式」と、AGVが充電ステーションに停止すると自動で接点が接触する「自動接続方式」があります。
メリット
- 充電効率が高い。
- 技術が確立されており、導入コストが比較的低い。
デメリット
- 自動化の妨げや、接点の摩耗・汚れによる接触不良、充電効率の低下。
バッテリー交換方式の運用と課題
AGVの稼働率を上げるために、充電済みバッテリーと交換して運用する方式もあります。これにより、AGV本体の停止時間を短縮できます。
メリット
- AGV本体の停止時間が短い。
- 複数バッテリーを準備することで、連続稼働が可能。
デメリット
- 重量のあるバッテリーの交換作業負荷、保管スペース、充電管理の手間が増大する。
「ワイヤレス給電」という選択肢
AGVのバッテリー管理における課題を根本から解決するのが、非接触で充電を行う「ワイヤレス給電」です。
非接触の「ワイヤレス給電」は、停止するだけで自動充電され、搬送の完全無人化を実現します。接点がないため保守負担が低く、火花が出ないため安全性も高いです。また、停車中の「こまめな充電」により、バッテリー寿命の延長と24時間稼働を両立します。
ナブテスコは、現場の省人化と生産性向上に大きく貢献するワイヤレス給電を提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
AGVバッテリー選定でよくある質問(FAQ)
リチウムイオン電池への切り替え時期の目安は?
最適なタイミングは、既存の鉛蓄電池が寿命を迎える交換時です。また、24時間稼働の実現やメンテナンス工数の削減、安全性の向上、省スペース化を求める際も有力な検討時期となります。初期投資は必要ですが、運用コストの削減と生産性向上により、長期的な投資回収が期待できます。
バッテリー寿命を延ばす運用方法は?
寿命を延ばすには過充放電を避け、適切な温度で管理することが不可欠です。鉛蓄電池は早めの充電を、リチウムイオン電池は隙間時間の「こまめな継ぎ足し充電」を心がけましょう。接触式の場合は、充電効率を維持しトラブルを防ぐため、接点の定期的な清掃・点検も極めて重要です。
複数台のAGVを効率的に充電管理する方法は?
集中充電や分散充電といった方式がありますが、最も効率的なのは「ワイヤレス給電」の導入です。荷積み中などに自動充電できるため、充電のための停止時間を実質ゼロにできます。管理システムと連携して残量を最適化すれば、専用ステーションなしで現場全体の稼働率を最大化できます。
まとめ
AGVのバッテリー選定は、生産性やコストを左右する重要な経営判断です。鉛蓄電池は安価ですが、長寿命・高効率なリチウムイオン電池は長期的なコスト削減に大きく貢献します。
さらに「ワイヤレス給電」を活用すれば、充電の完全自動化とメンテナンスフリーが実現し、稼働率を最大化できます。スマート工場化の鍵として、ナブテスコの給電システムをぜひご検討ください。最適な戦略のご提案やお悩みへのご相談をお待ちしております。




